プレゼント企画第2弾『千日の瑠璃【究極版】』

 プレゼント企画第1弾では予想を超えるご応募をいただき本当にありがとうございました! 当選者がたった3名で恐縮でしたが、今のいぬわし書房でできることの精一杯ですのでご容赦ください。当選しなかったみなさん、ごめんなさい。

 ちなみに、第1弾の『白鯨物語【愛蔵版】』の当選された方にメールにて連絡しましたが、3名中1名の方がご返信をいただいておりません。本の送付先のご連絡をお待ちしています!

 さて、第2弾は2014年2月に求龍堂から発売された『千日の瑠璃【究極版】』(上下巻)の丸山健二サイン入の本で10名様にプレゼント致します。

【究極版】は1992(平成4)年に文藝春秋から出版され、さらに手を入れたもので、これ、上下巻ともに1,000ページあります。がしかし、リアルな千日が、あらゆる視点で描かれています。例えば……。

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 私はテレビだ。

 天皇の老死がすべてのチャンネルを独占してしまったために、少年世一の家族に愛想尽かしをされた、とうに買い替えの時期を過ぎてしまったテレビだ。

 どの局でもこの日を予期して、あらかじめ用意しておいた特別番組をだらだらと流している。そして、間違っても事の核心に触れるような際どい言葉を吐かない、安全で無難な文化人をスタジオに招き、死以上のものと化したその死に対して、さらに、元々在りもしない威厳を持たせるための露骨で滑稽な装飾的コメントをずらりと並べさせている。

 世一の姉などはとうとう我慢の限界に達し、私に食ってかかった。

「もうそれくらいにしておきなさいよ!」

 そう言ってから、映画のビデオテープを借りに町へ下りて行った。

 酒と薬を交互に爛れた胃袋へ流しこんでいる世一の父は、私が数十年前の皇室に関する映像資料を見せつけるたびにいちいち絡んできた。

 どうして牛車ではなくて馬車なのか。

 なぜ和食ではなく、西洋料理なのか。

 どんな理由があって宝塚歌劇のような洋装にしたのか。

 必要以上に豪華な衣装に身を纏ってきらびやかな行事をのべつ国民にみせつけたがるのはどういうわけだ。

 日本はフランスか。

 そんなハッタリに眩惑されてひれ伏してしまう人間の数のほうがはるかに多いと高を括っているのか。

 ほどなく世一の母が、夫の言葉ではなく、酒のほうをたしなめた。

「また血を吐くわよ」

 それから私のほうをちらっと一瞥してから、こう言った。

「無茶をすると苦しみ抜いて死ぬことになるわよ」

 二階のオオルリが当てつけがましい声で、歴史はくり返すと鳴いた。

(1・8・日)

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 例えば、このような感じです。すべての文頭が「私は◯◯だ。」から始まるその日の出来事。◯◯は「風」であったり、「才能」であったり、「ぬかるみ」であったり。

 ぜひ、千日の壮大な物語をとくと楽しんでください。応募要項は下記のとおり。


【応募締切】2020年3月22日(日)23時59分

【応募方法】下記のメールアドレスに上記締切時間までに「千日の瑠璃希望」とだけ書いてメールを送ってください(お名前とか住所とかはまだ書かなくて大丈夫です)。

【応募先メールアドレス】inuwashi.shobo@gmail.com

【当選者選出方法】送っていただいたメールをプリントアウトし、シャッフルした中から10名様を選びます。ここは信用してください。

【当選者発表】当選した方には、2020年3月24日(火)の23時59分までに(そんなに遅くはなりませんので)、いただいたメールアドレスへ返信します。漏れた方は、申し訳ありませんが何も返信できません。すみません。

【書籍の発送】当選者の方は、こちらから送った「当選メール」に「お名前・ご住所・電話番号」をご返信ください。返信があり次第、2020年3月26日(木)から発送致します。


 丸山健二の作品を一人でも多くの方に読んでいただければと思います。ご応募お待ちしています。

管理人

いぬわし書房

作家・丸山健二が主宰する出版社。丸山健二作品や真文学作品の出版、および丸山健二の活動状況をお知らせします。

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