つぶやく管理人(14)新刊『BLACK HIBISCUS』の行方⑦
さて早速、前回の続き、『BLACK HIBISCUS』の束見本の最終製本過程をご紹介しましょう。最後の仕上げをやっていただくのは栄久堂の手製本のスペシャリスト、ヴィッキーさんです。
まずは次の二枚の写真をご覧ください。
これはすでに別の会社の革貼り職人さんの手によってゴート(山羊革)が貼られた表紙の裏(写真上)と表(写真下)で、見開きの状態です。写真上の裏から見ると背と表1、表4の間に溝があるのがわかります。これは本の開きを良くするためにあるものです。
またゴートの厚さは0.3ミリ。管理人が持ち込んだのは0.9ミリまですいた状態でしたが、さらに薄くなって、見事にぴっちりと表紙に貼られています。素晴らしいです。
次に下の写真をご覧ください。
これは表紙を貼る前の本文を背側から見たものになります。600ページ以上になる本文は、通常の綴じ方ではページがばらばらになってしまいますので、これも別会社で糸を使いかがり綴じという方法でしっかりと綴じられています。
オレンジの用紙は、この本文と先ほどの表紙をつなぐ見返しというもので、この部分と背に特殊なノリを塗って貼り付けることになります。
そしていよいよ手作り製本職人のヴィッキーさんが登場です。ここからはダイジェストみたいになっていますが、実に繊細な作業でした。まずは写真をご覧ください。
上から順に、本文の綴じをさらに補強するために背の部分にガーゼ状のものを貼り付けます。次にスピン(しおり)を挟み込んで背に貼り付け、最後に花布(はなぎれ)を背の上下に貼り付けて本文部分の補強は終了です。
次にこの本文を表紙に挟み込みます。
背の部分にノリを塗り、慎重に本文をくっつけて、しばらく置いたら……
表紙にあった溝の部分を上下から一度プレスします。通常の本ですと、表紙には紙が使用されますので、プレス部分には熱を持たせて圧をかけるそうですが、今回は革ですので熱による変色や変形をなくすため、熱をなくして単に圧だけをかけているそうです。
次に、本文の見返しに特殊なノリを塗り、表紙と本文をより強固にくっつけます。
ちなみに背に塗ったノリと、この見返しに塗るノリは違うものだそうです。
むらなく見返しと表紙がくっついたところで、
本全体にプレス機で圧をぐぐっとかけ、
さらに、先ほど一回やった溝のプレスをもう一度行います。そして、いよいよ仕上げです。
細い木の棒を切り、溝に合わせて置きます。
そして、その状態ものを、ふたたびプレス機で圧!!!
しばらく、表紙が反り返らないよう鉛の重石をしたら完成です!
いかがでしょうか。さくさくとダイジェストみたいになってしまい、その手の込みようがなかなか伝わらなかったと思いますが、ヴィッキーさんの手際はさすがに見事なものでした。
このように一冊一冊を丁寧に製本していただき、出来上がった本を丸山健二宅へ送ってもらい、丸山健二がシリアルナンバーをうち、サインをして、購読者のみなさんへ発送します。
予約を9月末に締め切り、そこから印刷、製本、そして発送まで少なくとも1ヶ月はかかってしまいますが、その時間の分だけいいものになると確信していますので、楽しみにお待ち下さい! と言いましても、まだ予約が30セットに達していませんので、みなさんのご検討をよろしくお願い致します!
最後に、この取材にご協力いただきました栄久堂のみなさん、ありがとうございました!
管理人
2コメント
2020.09.28 01:30
2020.09.26 05:08