2024.04.27 22:14「生きたまま現世を超える?」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(二十) 庭に集まってくるさまざまなハナバチたちの羽音の渦に巻きこまれて花殻を摘み取る作業が、おそらく誰にも理解できないであろう至福の時を与えてくれるのです。 不思議な感覚です。根気のいる単調な仕事がなぜこうした充足感を差し招くのでしょうか。傍目からすれば理解できないと思います。 掛け替...
2024.04.22 01:14「死が癒してくれるよ」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(十九) 幸運にも、この八十年間で残酷な自然災害に見舞われた経験が一度もありません。しかし、この先もそれがつづくかと言いますと、「怪しい限り」が本当のところでしょう。 本能的直感なる疑問符だらけの予感を前提にしますと、天変地異の時代が募ってゆくばかりと感じている人々の数は、増えることがあ...
2024.04.17 04:28「人生なんてさあ……」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(十八) 標高が七百五十メートルだからといって、この地の夏が格別涼しいというわけではありません。 内陸性気候の特徴で、確かに湿度は低く、海辺のむしむし感と比べたらまだましとはいえ、たびたび発生するフェーン現象のせいで気温が都市部のそれを上回ることも珍しくないのです。「信州って意外に暑いん...
2024.04.12 22:09丸山健二著『千日の瑠璃 Changed writing style for web ver.』の連載にあたってみなさん、お疲れ様です。いつもこのHPをお訪ねいただきましてありがとうございます。この度、「note」(https://note.com/maruyama_kenji/n/n5c99aff8edb3)にて『千日の瑠璃』の新バージョンの連載を始めました。「note」ではすでにエッセ...
2024.04.11 00:29言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(十七) この数年、蝶が集まる庭にしたい一心から、ブッドレアの種類と数を集めています。 噂では聞いていましたが、確かにその効果には絶大なるものがあります。人の鼻に感知される香りとしてはバラに遠く及びませんが、しかし蝶にとっては引き寄せられずにはいられない匂いであるらしく、日が落ちる直前ま...
2024.04.07 04:41言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(十六) 安らぎとときめきという、互いに相反する感動を、素人の造園家に求められつづける庭の苛立ちときたら、「さもありなん」ということなのでしょう。 しかし、極端から極端へと走りがちな、もしかすると自我意識に少々狂いが生じているのかもしれないこの私ときたら、そうした相反する感動の融合を求め...
2024.04.04 02:25言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(十五) この三百五十坪の敷地は、母親が実家から分け与えられたリンゴ園の跡地です。 ところが、こんな辺鄙なところでは利用価値がゼロに等しく、長年ほったらかしにされた結果として全体がススキに埋め尽くされ、要するに荒れ地の典型と化しました。 食材が豊かになるにつれてリンゴの需要は減ってゆき、...