2024.07.28 12:21「初夏が歓喜の歌を唄う」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十九) 金色を帯びた虹色の輝きを放つコガネムシが、絶好調を迎えつつあるワイルドローズの花に潜りこんでいます。 獲物を念頭に置いたジョロウグモがせっせと糸を吐き出しながら、ほぼ限界の大きさの罠を仕掛けています。大小さまざま、色とりどりの蝶が、副次的な効果のために庭の引き立て役も務めていま...
2024.07.23 09:21「たまにはお堅い話でも」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十八) 作庭と執筆が時の流れをさらに速めます。 一年などは、あれよ、あれよと言う間に過ぎ去ってしまいます。 そして背後に残されたのは、二百数十冊もの著書と、数百もの草木で埋まった庭と、未だにどう過ごすべきであったのかよくわからない、たった一度の人生と、半世紀余り暮らしてきた妻と、今年七...
2024.07.16 22:30「あの世へ持ってゆく花」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十七) 葉っぱだらけになってしまった夏の庭を彩ってくれるのは、各種のユリです。 テッポウユリ系よりもクルマユリ系が好きで、オリエンタルリリーの括りで販売されているド派手なユリも、使い方次第で新鮮な驚きと感動をもたらしてくれるために厳選したものを少々使います。 しかし、所詮はオニユリやヤ...
2024.07.11 08:00「生き物の宿命ってこと?」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十六) 木枯らし一号とおぼしき、アルプス颪とも言える冷酷な風が、高齢者たる私に虚勢を張らせます。「何くそ、これしき」という思いが強まって、「今度の冬も生き抜いてみせるぞ」という、年寄りの冷や水もいいところの覚悟を勝手に固めます。というか、弱音を吐いたところで誰も助けてはくれません。 ま...
2024.07.07 04:51「生き死にはひとまず棚上げ」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十五) 庭が理想の形に向かって充実してゆくにつれ、ここが捨て去るべき土地ではなくなりつつあります。 と言いますのも、五十代の頃までは頭の片隅に引っ越しが絶えずこびり付いていたからです。好きで選んだ住処ではなく、妥協の産物としての住居であったがために、いつかもっと好みに合ったところへ移り...