2024.12.31 00:112月2日、Web講演会開催のお知らせZoomでのご視聴は定員に達したため締切ました。みなさん、ご無沙汰しております。暑すぎた長い夏がようやく終わり、秋もそこそこに、大雪と寒冷の冬が一気に押し寄せてきておりますが、お元気でお過ごしでしょうか?いぬわし書房主宰の丸山健二は、81歳の誕生日を超えてますます心身ともにパワー...
2024.10.23 02:25丸山健二新刊エッセイ『言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から』発売のお知らせみなさん、お元気でお過ごしでしょうか?大変ご無沙汰しております。なが~い夏もようやく落ち着いてきまして肌寒くなって参りました。秋、あるのでしょうか?さて、本HPとnoteで連載しておりましたエッセイ「言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から」ですが、未発表分も含めて、田畑書店さんよ...
2024.08.18 08:24「そうです、馬鹿なんです」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(四十一) 八十歳を超えて不思議に思うことがあります。 覚悟していたにもかかわらず、寿命の短さを痛々しいまでに自覚する瞬間がまったくないのです。若かった頃と同じとまでは言いませんが、やはり未だに時間の感覚が永遠の位置に留まったままなのです。 これはいったいどういうことなのでしょうか。曲がり...
2024.08.08 02:11「雨よ、ああ、慈雨よ」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(四十) 我が庭にとって、梅雨明けを間近に控えた頃の大雨はまさしく慈雨となります。 それというのも、地面の下が粘土層ではないために根腐れの心配をしなくて済むからです。むしろ「もっと降れ」と雨雲を煽りたくなるほどなのです。 この辺り一帯は元河原でした。それが田畑になったのは、開墾した者は農...
2024.07.28 12:21「初夏が歓喜の歌を唄う」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十九) 金色を帯びた虹色の輝きを放つコガネムシが、絶好調を迎えつつあるワイルドローズの花に潜りこんでいます。 獲物を念頭に置いたジョロウグモがせっせと糸を吐き出しながら、ほぼ限界の大きさの罠を仕掛けています。大小さまざま、色とりどりの蝶が、副次的な効果のために庭の引き立て役も務めていま...
2024.07.23 09:21「たまにはお堅い話でも」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十八) 作庭と執筆が時の流れをさらに速めます。 一年などは、あれよ、あれよと言う間に過ぎ去ってしまいます。 そして背後に残されたのは、二百数十冊もの著書と、数百もの草木で埋まった庭と、未だにどう過ごすべきであったのかよくわからない、たった一度の人生と、半世紀余り暮らしてきた妻と、今年七...
2024.07.16 22:30「あの世へ持ってゆく花」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十七) 葉っぱだらけになってしまった夏の庭を彩ってくれるのは、各種のユリです。 テッポウユリ系よりもクルマユリ系が好きで、オリエンタルリリーの括りで販売されているド派手なユリも、使い方次第で新鮮な驚きと感動をもたらしてくれるために厳選したものを少々使います。 しかし、所詮はオニユリやヤ...
2024.07.11 08:00「生き物の宿命ってこと?」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十六) 木枯らし一号とおぼしき、アルプス颪とも言える冷酷な風が、高齢者たる私に虚勢を張らせます。「何くそ、これしき」という思いが強まって、「今度の冬も生き抜いてみせるぞ」という、年寄りの冷や水もいいところの覚悟を勝手に固めます。というか、弱音を吐いたところで誰も助けてはくれません。 ま...
2024.07.07 04:51「生き死にはひとまず棚上げ」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十五) 庭が理想の形に向かって充実してゆくにつれ、ここが捨て去るべき土地ではなくなりつつあります。 と言いますのも、五十代の頃までは頭の片隅に引っ越しが絶えずこびり付いていたからです。好きで選んだ住処ではなく、妥協の産物としての住居であったがために、いつかもっと好みに合ったところへ移り...
2024.06.24 06:30「ときには虚勢も必要」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十四) 第三者の目にはどこが面白いのかさっぱりわからない、単調な庭作業に没頭しているときのことでした。 突如として家のなかからドタドタドスンというただならぬ音が聞こえてきたのです。直接見たわけではありませんが、瞬時にしてぴんとくるものがありました。そしてその光景が鮮明に脳裏に浮かびまし...
2024.06.20 01:06「イメージを優先させるな」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十三) 標高があるからといって涼しい夏を満喫できるとは限りません。 観光地として有名な高原であっても、ときとしてそれなりの暑さに閉口させられます。 ましてここは、七百五十メートルという中途半端な高度ですから、太平洋高気圧の張り出し方いかんによっては三十五度を超える高気温に見舞われること...
2024.06.17 01:29「この世にしがみついてみたら」言の葉便り 花便り 北アルプス山麓から(三十二) 言うまでもないことですが、まだ若いタイハクオウムのバロン君や、長年連れ添っている妻のように、庭もまた生き物なのです……このたとえは、ちょっと問題ありですか。 それはともあれ、そうした常識中の常識をついつい忘れてしまい、美術作品の創作と同等の位置付けをした結果、イメージ先行の大失...